毎年夏休みになると持ち込まれる問題「感想文、作文はどうしたら書けるようになるでしょうか?」についてお答えするために企画しました。まず、「作文」以前の「語る」ということの支援に立ち戻ってみることにしました。そこで、発達障害児の療育について実践・研究・教材開発されている三好純太先生(「葛西ことばのテーブル」主宰)にお越しいただき、2時間ご講演いただきました。
「共同想起」「プラン機能」「一次的ことば」「二次的ことば」など沢山のキーワードが出てきて、かなりアカデミックな内容でしたが、日々の私たちの実践にもつなげて考えられるお話でした。
具体的な支援の話の中で、子どもの語りを支援者がパソコンで入力していくという方法(口述筆記のようなものでしょうか)は、私たちも作文指導の時に行っているので勇気づけられました。もっとも、私たちは日々手さぐり思考錯誤の中で学習支援を行っていますので、知らず知らずのうちに同じ支援をしていることは多いです。しかし、三好先生のようにきちんと言語化できていないので、恥ずかしい話ですが、自ら行っている支援の意味を改めて教えていただくことは良くあります。この辺は今後の我々指導スタッフの課題ですね。
個人的に面白かったのは、「語り」は映画で言うところの「編集作業」に近いというものでした。確かに、名画とされるものはいくつか編集しなおされて世に出されています(例えば『ブレードランナー』のディレクターズカット、ファイナルカットなど)。編集によって削られたシーンがあるとないとでは大きな違いです。本編よりも予告編の方が面白かった映画なども編集技術のなせる業かもしれません。テレビでも、失言したタレントの方々がよくやるハサミ・チョキチョキのポーズは編集を意味していますよね。ある情報を任意に加工する作業という意味では、メディア・リテラシー教育にも応用できるお話かも、と勝手に想像していました。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
またこのような機会を設けたいと思います。

スガ